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内容 |
0.01%アトロピン点眼による近視抑制について |
27年5月10日 |
Ophthalmologyで2012年に第1報、2014年に第2報がAudrey Chinaらにより報告された |
近視の進行の度合いを減らす治療として、最近いくつかの眼科でとりいられてきているものに0.01%アトロピン点眼による近視進行抑制治療があります。 アトロピン点眼は本来は調節(ピントを合わせる事)を麻痺させて正確な屈折状態を調べたり、虹彩炎の治療などに使われますが、1920年代より眼科で使われてきた点眼薬です。市販されている濃度は1%で原液の点眼の副作用としましては、顔面紅潮、動悸、発熱、頭痛、眼瞼皮膚炎、アレルギー性結膜炎などがあり、これらの副作用を防止するために点眼後は目頭を1〜5分押さえて鼻に目薬がぬけないようにして使用します。 この点眼を0.01%の濃度に薄めて、患者と親に説明と同意(インフォームドコンセント)のうえ、毎日睡眠前に点眼することで、近視の進行が抑制される(近視が治ったり、絶対進まないのではありません)ことが、2012年にOphthalmologyという権威ある眼科雑誌で報告されました。 この報告では6〜12歳の子どもに、2年間就寝前に0.01%アトロピン点眼を毎日続けたところ、点眼をしなかった子供たちでは平均−1.2D(Dとはジオプトリで、近視など屈折の単位です。数値が大きい方が度が強い事を示します。例えば2Dの老眼鏡をかけていたが3Dになった、など)近視が進んだのに対して、0.01%アトロピン点眼を続けた子供たちは−0.49Dに抑えられたと報告されています。副作用については、0.01%アトロピン点眼した75人中1人で霧視(かすむ)が生じたとされていますが、1%アトロピンで起こりえる重症な副作用はなかったと報告されています。 ただし、まだ症例数が少ないことと、新しい方法であって眼科一般で広く認められた治療ではないこと、何か副作用が生じた場合はすぐ報告してもらう、点眼後は通常の目薬と同様に目頭を数分人差し指で押さえ体内への移行を抑える、など慎重な対応が必要です。また親、本人がこの治療を希望することと、新しい試みのため長期的な副作用が不明であることの同意も必要と思われます。
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