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第20回「糖尿病患者の眼科と内科の診療連携を考える会」に出席して |
30年9月27日
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糖尿病網膜症の患者さんのアドヒアランスに関するパネルディスカッションで発表しました。 |
この会は糖尿病の患者さんの眼科と内科の連携を良くする目的で作られた会で、30名程の眼科医、内科医、栄養士、看護士、薬剤師などが出席、眼科医師は私と同じくこの会の世話人を最初から務めて下さっている松本先生、山口先生が出席されました。 パネルディスカッションで私が発表する機会を得ましたので紹介させていただきます。まず症例提示を行いました。
1.フィラデルフィアにあるウィルズ病院の「Non-adherence to eye care in people with diabetes」という論文が昨年British Medical Journalに掲載されていますので、まず紹介しました。 40歳以上、都市の糖尿病患者 1,968名を4年間後ろ向き研究したレポートです。 その結果、アドヒアランス低下因子(多変量解析)は下記の如くでした。 @糖尿病網膜症が軽症か中等症 (重症の方が2.75倍よい) A視力が良好(視力不良の方が1.37倍よい) BHBA1c値の報告(報告できる方が1.65倍良い)(これは値自体ではなく、患者さんが把握しているか否かということだと解釈しましたC血糖値の報告(報告できる方が1.65倍良い) C血糖値の報告(報告できる方が1.65倍良い) D喫煙(喫煙者が0.72倍と悪い) 参考文献 Murchison AP et.al. 2017;5(1):e000333 BMJ Open Diabetes Res Care.
2.日本の糖尿病患者さんが眼科で眼底検査を受けるまでの期間を、1000人を対象にネットアンケートした結果がありましたので、紹介しました。http://www.dm-net.co.jp/calendar/2015/023406.php 糖尿病と診断されたらまず内科と共に眼科も受診することが望ましいのですが、1ヶ月以内に眼科で眼底検査を受けた人は15.3%と低く、6割の人は5年以上経ってから初めて眼科に行くか、未受診とのことでした。 糖尿病診療ガイドラインにもありますが、初期からの眼科受診が糖尿病網膜症の早期発見につながり、その進展を予防できますので、この点は内科の先生にも眼科受診を促してほしいところです。 一方、多摩地区の内科医100名に調査した報告があります。糖尿病と診断した場合内科医が眼科に紹介するなどして眼底検査するまでの期間について、診断されてすぐと答えたのは、糖尿病専門医で8割強、非専門医で6割強とのことです(文献 大野 敦、他:糖尿病網膜症の管理状況に関する内科医へのアンケート調査.Progress in Medicine 2012;32(10):2235-2243) 多摩地区の内科の先生のモチベーションの高さが示されています。
3.次に、糖尿病患者の眼科通院継続の為に、内科の先生へのお願いとしまして、 糖尿病と診断したらまず眼科受診させる 網膜症の結果を確認し、糖尿病眼手帳が眼科から貰ってなければ内科から渡す 眼科受診状況を内科でもお声かけ頂く 「眼科は今度いつ診てもらいますか?」 「目は定期検査受けて下さいね 網膜症がでても中等症までは症状ありませんから」 「網膜症は中途失明原因の2位ですよ」 「眼手帳を書いてきてもらって見せて下さい」
4.そして糖尿病患者の眼科通院継続の為に眼科医の取り組みとして、 糖尿病網膜症網膜症につき説明 視力低下するのは網膜症が重症になってからか黄斑浮腫がある場合のみであること その為視力が良いことはあてにならないことを認識していただく 眼底写真を撮ってその都度現状を説明 糖尿病眼手帳を活用し内科との連携を図る など務めたい旨を述べました。
糖尿病網膜症は中途失明原因の2位の眼科疾患です。 糖尿病の方は糖尿病網膜症がなくても少なくとも年1回の定期検査が必要であることは、糖尿病診療ガイドラインやアメリカの学会のガイドラインでも示されています。
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